最後からx番目の晩餐

まいにちの夕飯は、いつだってそれが「最後の晩餐」になる可能性をもっている。

2014年1月3日

自宅にて、妻と。

雑煮、ブリの照焼。食後にリンゴ。

実家からは餅とあわせて野菜も送られてきている。収穫後の洗浄もされていない、農家が採ってそのままの野菜は、アパートで使うのは実は面倒だったりする。桶に水を溜めて土を落とし、泥水はベランダに捨てる。雨樋経由で外に捨てないと、キッチンの排水口では処理しきれないことがある。

実家の雑煮の味を再現することは難しい。ここには鰹と昆布の一番だしを取る環境がない。雑煮のために青海苔やイクラを買うわけにもいかない(実家の雑煮にはイクラがトッピングされるのだ)。

結婚してから5回目の正月であり、5年続けて雑煮をつくっている。鰹と昆布で出汁をとった年もある。毎年やっているうちに自分の味ができる。

昆布を鍋に入れておき、そのうちに野菜を切る。ダイコン、ニンジン、里芋、長ネギを切る。シメジも割いておく。三つ葉や白菜などを使ってもいいが、雑煮以外での取り回しがしにくいので避けてしまう。鍋を沸かす。昆布は特に取り出したりせず、なんなら具として食べてしまう。野菜を適当に入れ、鶏肉を入れる。唐揚げ・鍋物用などと書かれた鶏もも肉を適当に買ってくる。こういうところで無理にいいものを使おうとしない。軽くアクを取りながら、じっくり煮る。味付けは塩のみ。

餅は、電子レンジで温めて柔らかくなったものを、椀に入れておく。そこへスープを注ぐ。焼かないし、煮こまない。食べるときにカツオ節を振りかけると、まったく私の実家の味に近づく。妻は知らなかったと思うが、たしかに私の実家っぽい味だとのコメントがあった。青海苔をかけるとさらに実家の味になる。

副菜選びにずいぶんスーパで迷ったのは、売られているものが高級志向な食材ばかりだったからだと思う。いっそ刺身パックを買おうと思ったが、コストパフォーマンスが納得いかない。けっきょく、少し安くなっていたブリの切り身を買って照焼きにする。

ブリは、下処理を特にはせず、小麦粉を軽くまぶしてフライパンで焼く。チリチリ音がするくらいの火加減でしばらく放っておく。両面を焼いてから、醤油とみりんを同量あわせておいたタレをざっと絡める。シンプルにおいしい。

 


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